非一流大学学生の就職活動とその諸問題


中学時代の友人と飲んだ。彼は現在大学4年生だが、就職が決まっていないので、1年留年することにしたそうだ。面接などを器用にこなせるタイプの人ではないので、ある程度心配はしていたが、そうなってしまうとは。僕自身は、就活が楽勝で連戦連勝だったわけではないけれど、一応内定をもらってはいるので、なにかしらアドバイスできることがあるかもしれないと思って話を聞いてみた。


話を聞いてみると、率直に言って驚いた。どういうところを受けているのか、狙っているのかを尋ねたところ、彼はこう言ったのである。

●●●っていう掲示板知ってる?
そこで評判のいい会社の説明会に行ってる。

●●●は、就職関連ではかなり有名な掲示板である。もちろん知っている。だが、そこに書いてあることを鵜呑みにしてはいけないことももちろん知っている。彼はそれを知らなかった。結果、彼が志望している企業は、一般的にはあまり評判のよくないと思われるところであった。彼が心底その企業で活躍したいと思っているならいいのだが、話しぶりからどうもそうではないようだった。


そんな危険な就活をしていいのか。いや、ネット掲示板の情報をまったく参考にしてはいけないというわけではない。ネットの情報はタイムリーであり、嘘か本当かわからないが、匿名ならではのズバズバした意見が書かれることもある。参考にする分にはいいツールだと思う。問題は、情報源がそこしかないことだ。仮に内定をもらえたとして、ミスマッチが発生する可能性が高い。そんなことはどんな就職ガイドブックにも書いてあるし、どんな就職セミナーに行っても言われるし、先輩や友人だってきっと言うと思う。これが最初の就活ならまだしも、2回目なのだ。情報収集が圧倒的に足りていないといわざるをえない。僕は、まずはその辺の認識を持っておこうと話した。


帰ってから、ふと思った。大学ごとに指導が違っているのかもしれない。彼の大学は、正直にいって名門と呼ばれるところではない。就職先リストを見ても、いわゆる『一流企業』や人気企業の類は少ない。大学側もおそらくそれは承知していて、だから「知らない中小企業などでもいいところはありますよー」と遠まわしに人気企業回避を促しているのかもしれない(もちろん人気企業への就職実績をつくる努力も怠っていないだろうけど)。実際には彼のような就活をしている学生はけっこういる可能性がある。


マスコミに取り上げられるのは、一流大学の学生や有名企業の声が圧倒的に多い。しかし、もっと深刻な事態は、そうではないところに潜んでいるように思えた。真剣に観察して、手立てを打っていく必要があるのではないか。