「コロシアム」の立体感


コロシアムという単語がある。


闘技場とか、そんなような意味である。
ところがですね、日本語の感覚的には、語意以上にもっと強烈なイメージのある単語だと思うんですね。
実はもっと奥行きがあって、立体的な単語だということです。
要するに「殺しアム」ないし「殺し合い」あたりを想起させるのです。
これにうまく目をつけてネーミングしている例があります。


ポケモンコロシアム」というゲームがありますが、これだって意味としては「ポケモンが闘う場所」ってことですが、子どもが連想するのは殴ったり蹴られたり時には殺されたりっていう、確実に殺伐とした光景だと思うのです。「ポケモン殺し合い」だと確実にPTAやらなんやらから苦情がきそうですが、「ポケモンコロシアム」ならセーフ、かつ激しくてエキサイティングな戦闘のイメージも持たせることができる。この辺のさりげないネーミングセンスは光ってると思います。


ビューティー・コロシアム」という番組もあります。これは闘技場風のスタジオセットで女性(男性の場合もあるのかもしれませんが)の外見を変えてしまおうという趣旨の番組です。ここでも、コロシアムという単語の持つ「命がけ」というような日本語のニュアンスが利いているように思えます。「死闘」といえばいいのでしょうか。真剣勝負なんだということが暗示されているように感じられます。やはりこのネーミングも、人間の無意識に絶妙にはたらきかけている気がします。




「コロシアムという単語には語意以上の立体感がある」なんてことは、まず学校じゃ習いません。
日常生活でも、そんなことを意識している人もまずいないと思います。
ネーミングに困ったときに、この単語を論理的に導き出すことはおそらく非常に困難です。
無意識のうちに「なんとなく」積み重ねられた言語感覚を研ぎ澄ませておかないと、こういう発想・ひらめきは出てこないでしょう。
磨いておきたいものです。