NHK教育『視点・論点 クリスマスに見る家族の変容』感想


昨夜、教育テレビ『視点・論点』を見た。タイトルは「クリスマスに見る家族の変容」。論者は、食卓を通して家族のありかたを見つめてきた岩村暢子という人だ。たぶん見た人は相当少ないと思うので、見逃している部分があることを承知しつつ(見たのは途中から)、内容を紹介する。
まずはサンタクロースだ。ひと昔前は、子供に喜んでもらいたいというイベントだったが、このところ子供の喜ぶ顔を見て親が楽しむという場合が増えているそうなのだ。だから、反応の薄い子供に対しては、子供よりも親の方が先に冷めてしまうことがあるのだという。
クリスマスケーキにもふれた。以前は1つのホールケーキを家族で切り分けて食べていた。しかし、家族それぞれの好みが多様化してきており、人数分の種類のピースケーキが用意されることが増えているらしい。それだけならまだいいが、人数分のホールケーキというケースまであるという。これについて、子供がゆずらないのはまだしも、親が自分の好みをゆずらないせいもあると指摘する。
この他にも、思い通りの飾り付けをしたいがためにツリーやデコレーションケーキが人数分用意されることも珍しくなくなってきていることも紹介した。番組は、自分の好きなことをゆずらず、それがかなうことが当たり前だと思ってしまう子供が増えることに警鐘を鳴らして結ばれた。
そうかそうなのか、ここまできているのか。どれにも共通するのは、大人の子供化だ。大人がゆずれないし叱れない。わがままで自己中心的な大人が子供をわがままで自己中心的に育てる。その子供もわがままで自己中心的になるんだろう。最近はレストランで子供がぐずりだすと親は必死にあやしている。僕などは問答無用に怒鳴られ「我慢」を叩き込まれたものだが、特殊だったんだろうか。そんなことはないと思うしそんなことではいけない。ものをつくる立場からは、遠慮せずにどんどん要求してくれた方が改善が進むからいいのだが、そうではない場面にとってはマイナスの側面が多いだろう。
モノが人数分買える時代になったのかもしれない。かつてのように我慢を要する時代は終わったのかもしれない。だが、豊かな社会というのはこういうことをいうんではないと思う。非常にまずい。