除夜の鐘に幼稚な願いこめて


1ヶ月ぐらい前のある飲み会で聞いた話だ。

「また今度みんなでちょこちょこ飲もうな」
「みんなどこがいい?」
「オレ会社の関係で、上野とかがいいな」
「上野はあそこ、抗争とかで発砲事件とかあったから危ないよ。違うとこにしよう」


そのとき僕は、そんな大げさなと思ったのだが、数週間後に佐世保の乱射事件が起きてしまった。一般人が凶弾に巻き込まれることが珍しくなくなってきた。
とにかく今年は銃社会の到来を予感させる年ではなかったか。長崎市長の射殺に始まり、愛知では立てこもりがあり、警官1人が犠牲になった。入院患者が間違えて銃撃された事件のように、暴力団同士の抗争が相次ぎ、巻き添えを食うケースもあった。警察官による事件も続発し、交際相手を殺し自分も自殺したり、交番の中で自殺したり、つい最近は僕の家のすぐ近くの家で拳銃自殺している警察官が見つかったりもした。
こんなとき、どうすればこうした事件は少なくなるのかと人並みに考える。でも、規制を強化するとか、そんな程度の対策しか思い浮かばない。
幼稚かもしれないが、年の瀬に僕は思う。
銃の恐怖のない、穏やかな日本がいいな、と。自衛のためにみんなで銃を持つとか、そんな物騒な世の中になる前に、みんなで銃を捨てればいいんじゃないかと幼稚に願ってしまうのだ。そして、こんな幼稚な願いがずっと続けばいいなと思うのだ。