『バタフライ・エフェクト』感想

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劇場公開された週末の興行収益のよさもさることながら、『バタフライ・エフェクト』は家で、後ろめたく思いながら見るのもまた楽しい作品だ。脚本兼監督のエリック・ブレス、J・マッキー・グラバーのコンビ(2人は『デッドコースター』の原案を書いている)は、場当たり的に論理が展開するルールを崩しておらず、品のないサスペンスである本作も不快感をいっぱいにして、永遠の破滅が魅力的な選択肢に思えるように仕立ててある。アシュトン・カッチャーが、TVシリーズ「That '70s Show」のキャラクターとは逆転して、心理学を学ぶ大学生を演じる。彼は子供のころの日記を読み返して、自分の過去を訪れ、トラウマになっている出来事を変えることができることに気づき、以前の不幸な結果を良くしたいと願う。だがその代わりに、「バタフライ・エフェクト」というカオス理論(本作の題名であり、『ジュラシック・パーク』でジェフ・ゴールドブラムが演じたキャラクターによって有名になった理論)による向こう見ずな経験が、悪夢のように続く様々な出来事となる。どの出来事も彼や彼の友人たちにとって悲惨な結末となる。この興味深い前提条件は、いくつかの面白いひねりによって探求されるが、児童ポルノ、動物虐待、神を冒涜する暴力的な子どもたちといったわき筋によって娯楽映画と呼べる作品になっている。(Jeff Shannon, Amazon.com

【まだ誰も見たことのない、究極にして最悪のハッピーエンド!】

ある日の学校で。
少年エヴァンはあまりにも残酷で狂気に満ちた絵を描き、周囲を困惑させる。なぜこんな絵を描いたか訊いても、本人にはまったく記憶がないという。これがすべての始まりだった‥‥。
「記憶がなくなる」症状、父の遺伝、「あの日」の謎、「バタフライ・エフェクト」とはいったい‥‥。巧みな時間軸構成の末に待ち構えるのは、まだ誰も見たことのない「悲しきハッピーエンド」!



「この世界で誰よりも君を愛している」「君が生きていてくれればそれでいい」‥‥かつて何度も繰り返され、もはやダサイとか使い古されたといった感さえあるこのテーマ。しかしながら、非常に凝った作りのおかげでそのありふれたものが胸にしみた。140km/hの直球が配球によって見違えるようになったみたいな感じ。衝撃。まさかこの手のテーマにやられるとは‥‥。タイトルからは想像できなかった。終わり方も、仲良しこよしになってよかったね、運命だねってところに落とさないのが、なんともいい。