野茂英雄のすごいところ 〜ロイヤルズとマイナー契約
尊敬する人は誰ですかと聞かれたら、野茂英雄ですと答えている。
僕は野球ができないので、野茂のフォークを尊敬するとか、球威を尊敬するとか、そういう部分ではない。すごいとは思うけど尊敬とは違う。じゃあどこを尊敬するかといえば、生き方や姿勢なのである。
- 野茂英雄のすごいところ1:チャレンジ精神がありまくる
ここで僕が説明するまでもないと思うが、野茂は日本人メジャーリーガーのパイオニアである。過去にほぼ前例がなく、周囲には「絶対に」成功しないとまでいう人もいた。しかし野茂は「やってみなければわからないし何も始まらない」といってメジャー挑戦を決意した。まずここが偉い。
- 野茂英雄のすごいところ2:精神的に強すぎる
そもそも野茂のメジャー行きのきっかけとなったのは契約交渉のもつれからだった。野茂の主張は一部の人にはわがままとしてとらえられ、バッシングも受けた。メジャー挑戦の際にも、直接的・間接的なかたちで「無理」という視線がぶつけられた。それでも野茂の心は折れず、異国の地で大活躍することになったのだ。また、野茂は何度かケガをし、成績を落とし、解雇も経験している。普通ならそこで気持ちが切れてしまいそうなものだが、野茂はそれを克服し、見事に復活しているのである。結果を出して周囲をだまらせているのである。うーん、すごい。
- 野茂英雄のすごいところ3:一貫性がめちゃくちゃある
メジャー移籍の発端となった契約交渉後、近鉄球団側は半ば脅しに近いようなやりかたで野茂に圧力をかけた。近鉄が許可しない限り、他の日本の球団でプレーすることを不可能にしたのだ。つまり、当時の常識からいえば、近鉄のいうことを聞いて残留するか、引退するかの二択しかなかった。しかし野茂は自分のやりたくないことはなにがなんでもやりたくなかったので、メジャー挑戦を決めたのだ。たとえ年俸が1/10以下になりポジションが確約されなくとも関係なかった。そして現在でも、野茂のやりたいことというのははっきりしている。それはカネが安くとも身分が不安定であろうとも、メジャーリーグで現役を続けたいということだ。日本の球団から好条件のオファーがあったとしても、野茂の一貫性の前には歯が立たない。
- 野茂英雄のすごいところ4:感謝の気持ちをすこぶる持っている
野茂は社会人野球チーム「NOMOベースボールチーム」を設立した。これは自分を育ててくれた社会人野球チームが相次いで廃部に追い込まれていることに危機感を覚え、野球を志す人の受け皿をつくろうとの思いからであった。このNOMOベースボールチームの一定の成功が、茨城ゴールデンゴールズや四国アイランドリーグ・BCリーグなどの動きに多かれ少なかれ影響を与えていると思う。このほかにも野茂はアメリカ独立リーグの球団の共同運営にも取り組んでいたり、チャリティー活動も積極的に行なっている。自分の納得のいかないことには納得いくまで徹底的にやりあうが、自分が恩を受けたものに対しては全力で感謝を示すのである。こういう姿勢は見習わなくてはいけない。
- 野茂英雄のすごいところ5:絶対に絶対に絶対にあきらめない!
そしてなんといっても野茂のすごいところは絶対に絶対に絶対にあきらめないところである。何度ケガをしようとも、何度解雇されようとも、どんなにひどいことをいわれても、メジャーでやりたいという純粋でシンプルな気持ちを切らすことなく這い上がってきた。美学がある。数日前、ベネズエラのチームとの契約を解消したとき、もう野茂もこれまでかと思ってしまった。野茂を信じることができなかった。僕は謝りたい。野茂はまったくもってそんなしょぼい男ではなかった。
2008.01.04 ロイヤルズと契約 (野茂英雄|公式ウェブサイト)
「とにかく怪我せず、頑張りたいです。」
〜以下編集部より〜
野茂英雄投手が、カンザスシティ・ロイヤルズとメジャーリーグキャンプへの招待付きでマイナーリーグ契約を結びました。既にベネズエラを離れ休養中の野茂選手ですが、2月14日にアリゾナで始まるスプリングトレーニングに備えていよいよ始動します。
あー、やっぱり野茂はすごい。こんな人になりたいなぁ。まさしく英雄だ。
ドジャースに勝てば、メジャー全30球団からの勝利となる。これを達成したのは、メジャーの長い歴史でも過去にたった1人だけだ。野茂にふさわしい記録である。
野茂英雄が復活する。まだマイナー契約だけど、僕は断言できる。野茂英雄は復活する。野茂英雄は永久に不屈である。