公立学校出身者が「普通」をわかる理由


僕はかなり「普通」の感覚がわかる方かもしれないと思う。「平均」の方がより正確かもしれない。なぜこのような自分の視野の狭さを浮立たせかねない浅く恥ずかしい考えを披露するのか。一応の根拠はある。それは、僕は公立の学校を出てきていることだ。
公立学校というのは、たぶん日本全国どこでもそう大きく違うということはない。日本全国の公立の小・中・高校を見てまわったわけではないが、私立の異質性とは明らかに区別できるだろうし、地域差や各校の特色を考慮したとしても、公立という枠でくくってそう問題はないのではないか。
そんなことをいうと、私立だって場合によっては公立と同じぐらい生徒数があると反論されるかもしれない。地方の場合は事情が異なるだろうけど、少なくとも僕のいる首都圏では、かなり多くの子どもが小学受験や中学受験をしているし、中学校ではクラスの半分ぐらいが私立の高校に進む。児童・生徒数でいったら、公立組が標準的とは必ずしも言い切れない現状がある。これを理由に、公立組の標準性を否定する意見があってもおかしくはない。
だが、私立学校はやはり特殊だと思う。私立卒業者の中には、まわりはみんな価値観が似たような人間が多かったと主張する人もいるかもしれない。しかし、それは偏った集団だ。高額な授業料を払える人だけを抽出した集団である。私立学校の親は主に経済的な背景が似ており、それに伴ってライフスタイルや生活環境、育ってきた背景などが似ているにすぎない。決して標準的・平均的ではない。逆に、全児童・生徒から富裕層を除いたものが公立学校の母集団であるともいえるのかもしれないが、公立組における富裕層の「混入率」と、私立組における貧困層の「混入率」を比較すれば、公立組の方がより統計的に正確な結果が得られるのではないだろうか。経済的に豊かでないものの、スポーツや学業などが優秀なために私立学校に通うケースも考えられるが、おそらくは少数派で、私立学校の標準性を肯定できるだけの数はいないように思われる。
それに、私立というのは、それぞれの学校ごとにかなり個性が違うんじゃないかとも思う。少なくとも、公立学校どうしの「違い」よりは多岐に渡っているだろう。自分の学校の「普通」が、他校でも通用する可能性はあまり高くないと考えられる。
というわけで、私立組の人が、「普通は」と力説するときにはより注意が必要ではないかと考える。それはあなたがいた特殊な集団の中での話であって、決して世間の普通とは限らないんである。相手が公立出身者であれば特に。もちろん教育環境だけがすべての要素ではないだろうが、「公立出身者の方が「普通」がわかる」ということは概ね言えるような気がしている。当然ながら、私立学校には私立学校のよさがあるし、公立も公立でいい面も悪い面もあるんで一概にいえないですし、どっちがいいとか悪いとかではないです。が、公立か私立かで迷っているとか、むしろ「公立ってちょっとなぁ」と思っている親御さんに、公立ってこういうとこもあるんだよっていうのを示したかったのです。公立出身なことにコンプレックス持ってる人に勇気持ってもらえたらなぁとも思います。