さそうあきら『神童』感想
- 作者: さそうあきら
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 1998/06/01
- メディア: コミック
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【運命に逆らい、人生を切り拓く。行く先は、音楽という運命。】
さそうあきら『神童』(全4巻)を一気読みした。
不慮の死を遂げた伝説の指揮者の娘である天才ピアノ少女の物語。良家に生まれ最高のエリート環境と、「神童」とするほかない類まれなる才能とを併せもつ少女が、野球に出会い、音大を目指す青年と知り合い、定められた運命に少しずつ逆らいながら、力強く自らの人生を切り拓いていく。
このマンガ、家もピアノも地位も名誉も失って、それではじめて「私ってピアノが好きなんだ」と気づくとこが好きなんです。ちょっとずつ地域や自分を取り巻く人々になじんでいくさまも胸をうつ。
「音の出るマンガ」といえば最近はハロルド作石『BECK』や二ノ宮知子『のだめカンタービレ』なんかがちやほやされていますが(まぁ当然BECKものだめもスゲェおもしろいんですけど)、こちらは音が振動としてというか「波」として伝わってくる。
「私は楽器」と語る声楽の女。真似をして「オレはピアノ」だと言ってみる青年。そして、「私が音楽」といって周りを圧倒する天才少女。いや〜いいですよ、このマンガ。一読の価値あり。
さそうあきらは『コドモのコドモ』といい『宇宙人スズキヨシコさん』といい『マエストロ』といい、良質な作品を連発してますなー。