エド・はるみの悲劇


エド・はるみが売れている。


それはもう、「飛ぶ鳥をさばく勢い」(by岡村隆史)である。落とすだけでも難しいのに、さらにさばいてしまおうというのだから、とてつもない。
昨年暮れからちょこちょこ見るようにはなっていたが、ブレイクを決定づけたのは、「さんまのまんま新年スペシャル(今田耕司が無名の新人芸人を紹介するコーナー)」に出たことだろう。その後、ウッチャンナンチャンの「イロモネア」や、「爆笑レッドカーペット(たしか優勝していた)」あたりで見かけるようになった記憶がある。


エド・はるみトークは、けっこう聞けるレベルだと思う。さすがに年齢を重ねているだけあって、落ち着いて切り返すことができる人だと思う。演技力もあるから、正統派のストーリーコントをやってもおもしろいと思う。


でも現在、彼女が要求されるのは、「グー」である。登場の際にやるのはまだいいとしても、出演者がみんな彼女に「グー」をやれと振っていく。彼女も、要求されなくとも「グー」をやる。それが今のところは喜ばれる可能性が高いからだ。多くの客は彼女の「グー」が見たいからだ。でも、やればやっただけ、飽きられてしまうのも事実である。きっと彼女も、とりあえず「グー」をやっておけば安心だけど、それが自分の首を絞めているというジレンマは自覚しているだろう。自覚しつつも、しゃべる時間のほとんどは「グー」とそのための前フリで占められている。もったいない。先日ルミネtheよしもとで彼女が出ているコントを観たときも、「グー」にまつわるセリフが多く与えられている一方、他に笑いがとれそうなセリフはあまり用意されていなかった。本当にもったいない。


このままではエド・はるみはつぶされるだけだ。こんなにきちんと基礎ができている人をつぶすのは惜しい。まぁこの人なら声優やナレーションでも十分生き残っていけるような気もするが(グーを使わなければ)。そのためにも、変な色がこれ以上つく前に早く路線を切り替えるべきだ。例えるならそうだな、藤井隆のようにだ。キワモノに突き進む必要はない。もう知名度は得た。これからは正統派でいこう。エド・はるみは「グー」をやらなければおもしろい。