派遣会社の動脈は労働者の生命線でもある


日雇い派遣という働き方がある。
労働者は働こうとするたびに派遣会社に「明日何か仕事ありますか」と電話し、毎回違う現場に行く。
賃金は決してよくないし、仕事も単調で簡単なものばかりだ。
即日現金を手にできることだけが唯一のメリットと言っていいかもしれない。
グッドウィル(モバイト)やフルキャストがその代表格だ。

政府は、この日雇い派遣を廃止する方針らしい。
ワーキングプアの温床になっていると考えているようなのだ。
ちょっとそれは違う。
温床ではなく受け皿だ。
日雇い派遣に問題が多いことはわかっている。
だが一種の必要悪ではないか。
廃止によって本当に苦しむ人が出てくる。
それはできれば避けた方がいい。

多くのワーキングプアは、情報をとっていない。
新聞やテレビに接することがあまりないからだ。
今回の動きも把握していない人がいるだろうと思う。
多くのワーキングプアには、声をあげる気力が残っていない。
生活で精一杯だからだ。
こんな状況では政府に実態が知れるはずがないかもしれない。

マネジメントとは現場想像力だと語った社長がいた。
国のトップも想像力を働かせてほしい。
日雇いがあるから食べていける人がいることを想像していますか?。
なぜ貧しい生活を強いられているのか、なぜ派遣会社がもうかるのか、理由を考えていますか?
そして、貧困層を減らそうとした施策によって貧困層が増えるということが想定できていますか?
だとしたら、労働者をできるだけ守るようなかたちで対応できませんか?
英断を期待する。