値上げを非難すればするほど値上げを助長している?


原油に引きずられるかたちで、いろいろなものが値上げされています。
ニュース番組では街頭インタビューを行ない、「街の声」として紹介する。
しかし出てくる人出てくる人、

「困りますねぇ」
「やってらんないよ」
「政府ももっと本気でなんとかしてくれないと」

などなど、なんだかすごく当たり前の発言しか出てこないのです。


えーと、ニュースって「みんなが知らないこと」を伝えるものじゃなかったっけ?


値上げされて生活にダメージがあるってのは当たり前でしょう。みんな知ってる。
統計的に意味があるわけでもないんだし、制作側が自分の意見を補強するためにやってるとしか思えないなぁ。
当然使われたり使われなかったりするコメントもあるでしょうし。
こうした街頭インタビューには、それを見た人が「みんながそう考えてるらしい」って錯覚してしまう効果があって、世論のなだれ現象が起きる要因になってるんじゃないかなぁ。



もっと重要なことは、値上げを非難する報道をすればするほど、値上げに対して抵抗感というか嫌悪感が薄れていくということ。
珍しいものじゃなくなってくるんで、どんどん鈍感になっていく。
しまいには、みんな苦しいみたいだしまぁいいかという気分になって、やがて値上げやむなしとの空気が漂ってくる。
値上げを非難すればするほど、値上げを助長しているような気がしてならない。
いや、実際に苦しい思いをしてる企業というのはあるとは思います。
それに、事実を事実として報道するってのは正しいと思いますよ。生活が苦しいのをわざわざ「超好景気です」という必要はない。値上げという大事なニュースを黙殺することはいけない。批判的な姿勢をとることも健全だと思う。
そうは思うけど、でも、あまり深く考えずに反射的に報道している感じを受けてしまうんだよなぁ。前の仕事の反省をするヒマもなくすぐ次の仕事に追われてしまうからだろうか。
もっときちんと時間をかけて原因を解説するとか、じゃあどうすればいいんだとか、そういった要素がほしい。
「値上げします」→「困りますぅ」じゃ困るのです。
つくってる人たちはこういうことにちゃんと自覚的になってるんだろうか。
いや、ひょっとして、スポンサーに頼まれて自覚的にやってるのか?