毒入りギョーザと遺伝子組み換え作物


毒入りギョーザ事件。


「もう中国産は買わない。高くても国産買う」みたいな話をちらほら聞きます。たしかに中国産は危ないのかもしれないが、だからといって、国内産が安全かというとそんな保証ないわけで。なかには国内では農薬を一切使ってないとか思ってるひともいるようで・・・。


自分でつくっていない以上、誰がどうつくってるかわかんないので、それが中国の農家であろうと隣の農家であろうと、どこかで信頼しなくてはいけない。つくった人が安全というならそれを信じて食べるしかない。本質的にそういうもんです。もしかしたら毒が入ってるかもしれないし賞味期限が切れているかもしれないけど、どこかで自分で判断して覚悟して食べなくてはなりません。


でも、こういろいろと食の信頼というものが揺らいでくると、消費者にできることは、家庭で自らチェックするということになります。食のグローバル化が進み、つくり手と消費者の距離がどんどん拡大している以上、検査をつくり手に委ねたところでその信頼性には疑問が生じます。そのうち、「家庭用簡易検査機」なるものが発売されて、それにかけてから調理するということが一般的になってくるかもしれません。


ただし、それでめでたしめでたしとはならない。みんな、「検査機にかけさえすれば大丈夫」と思うようになるのです。もしも検査機で検出できない薬物が混入していたら?検査機が故障していたら? 口に入れるものを人につくってもらうということは、本来的に危うさを含むのだという事実を忘れてしまうようになってしまいます。『ここから先は危険』と表示することは、『ここより手前は安全』ということを意味してしまうのですから。自分の判断というものが止まってしまうんですね。「国内産は安心」「高い値段がついてるものは安心」というのも同じ。これはこれで大惨事を引き起こしかねない。


結論はなかなか難しくて打ち出せないですけど、農薬に関していうなら、遺伝子組み換え作物も検討した方がいいのかなと思います。あれはたしか農薬を減らせると聞きますし。飢餓に苦しむ人を救うことにもなるし、穀物価格の安定化、バイオエタノールにも生かせるかもしれない。人体に悪影響があるといわれてますが、「悪魔の証明」ってやつで、影響が「ない」ことを証明するのはほとんど不可能。そもそも、昔から行なわれている「掛け合わせ」とは人為的に遺伝子を組み換えることなわけで。


僕自身、遺伝子組み換え作物の専門家ではないので、誤った認識などもあるかもしれませんが、消費者が一般に思ってるほど危険なものでもないのかなと考えています。農薬を使った非遺伝子組み換え作物とどれぐらい安全性に差があるというのか。今回の事件を契機に、国内でももうちょっと議論されてもいいんじゃないでしょうか。